横浜大会・大会長挨拶
医療法人社団ハートクリニック ハートクリニック横浜 院長 柏 淳
成人発達障害支援学会の大会も、今年でついに記念の第10回目を迎えることとなりました。
当初は研究会として、加藤進昌先生をはじめとする皆様のご尽力により立ち上げられたこの会は、第6回の札幌大会にて研究会から学会へと発展しました。その後、愛知・滋賀・岡山と西方面での大会が続いたのち、今回久々に関東圏での開催となります。会場を横浜とさせていただき、横浜市・ハートクリニック横浜の柏淳が会長を、川崎市・きしろメンタルクリニックの木代眞樹が副会長を努め、オール神奈川の布陣にて皆様をお迎えいたします。
10月21日(土)・22日(日)の週末に、会場としては横浜ワールドポーターズという商業施設の、6階にあるイベントホール・会議室を準備いたしました。ランドマークタワー、赤レンガ倉庫、山下公園などの観光地からもほど近く港の風が心地よい、横浜としても最高の立地にあります。
10月の心地よい週末に、多くの皆様とこの地でお会いできることを楽しみにしております。
今回の大会テーマは「こどもと大人、支援者と当事者をつなぐ ~ニューロダイバーシティを見据えて~ 」とさせていただきました。横浜市は、従来より自閉症の早期発見、早期療育など小児精神保健分野ではわが国をリードする実績を持つ自治体です。そうした開催地のバックグラウンドを活かして、小児領域で活躍されている皆様にもご登壇いただくとともに、発達障害支援におけるこどもから大人への移行(トランジション)の問題を一つのテーマとして取り上げます。
また、昨今の当事者活動の高まりの中、時代とともに支援者と当事者の関係性にも変化が現れてきています。神経多様性(ニューロダイバーシティ)の概念が浸透してきている現在では、発達障害者と定型発達者とは互いに排他的なものではなく、ひとつの神経多様性の中で連続的な関係にあるとされます。
こうした時代には、支援者から当事者への一方的な「支援」という考え方ではなく、神経多様性を有する同じ人類として、皆が住みよい社会をともにどう作っていくか、という視点が欠かせません。こうしたことから、今学会では市民公開講座にてニューロダイバーシティについても取り上げるとともに、発達障害者へのスティグマの問題を正面から取り上げたシンポジウムも開催いたします。
また、例年通りのポスター発表に加え、今年は一般口演も募集いたします。第1回が行われた10年前と比較しますと、成人発達障害支援の輪は全国に広がり、各地にて新たな支援活動の芽生えを実感しています。ポスター、口演ともに全国の皆様の積極的なご登壇を期待しております。
文明開化の地、横浜は明治維新以来、常に新たな文化の発信地でした。今回の横浜大会が、成人発達障害支援の新たな地平の発信地となるよう、主催スタッフ一同頑張ってまいります。新型コロナウイルスの感染状況にもよりますが、今年は久々にリアルでの懇親会も企画しております。全国の支援者の皆様の交流の場になり、新たな智慧が生まれ発信されることを願っております。